2020年5月23日土曜日

21世紀は格差社会の時代

1.21世紀は格差社会の時代

21世紀は格差社会の時代になると思う。なぜそう思うかの理由は単純で、経済学者トマ・ピケティが『21世紀の資本』で言っている通りだと思うからだ。経済は通常ならば格差が生じて当たり前で、戦争後の僅か数十年がr<gとなる特別な期間であって、通常はr>gとなるからだ。

そして、そこで問題になるのもピケティが指摘している通りで、世襲資本主義であり、タックスヘイブンで課税逃れが起こることだ。それに対する処方箋もピケティが指摘している通りで国際的な包囲網を構築するしかない。しかし、これが困難なこともピケティが指摘している通りだ。しかし、困難であっても国連のような国際機関を創設してなんとか包囲するしかないと私は思う。しかし、そんなものが構築されるには長い時間を要してしまい、構築される頃にはどうしようもない格差で手も足も出ないかもしれない。


2.日本の不公正を是正する

市場経済自体は大きくは間違っていないと思う。問題は不公正な市場である場合が問題だ。日本に話を限定すると、日本の場合は規制が市場を不公正なものにしている。よく言われるように、規制によって新規参入を阻み、既得権益層だけで利益を享受していることが日本では往々にしてよくある。特に中小企業などで不合理な経営をしているのに、なぜか経営が成り立っているなんてことがよくある。それは規制によって新規参入を阻むことで、経営者が高い利益を貪っているからだ。同じ業界での他国の状況を比べてみると分かる。他国では大企業化していて合理化されていて、品質もコストも労働条件も良いというすべてにおいて良好な業界が、日本ではまったく逆で品質もコストも労働条件も悪いのに経営者だけが利益を上げているなんてケースがある。合理的な意味での経営努力なんてものはなく、旧態依然の業態でありながら、新規参入をさせないことで、消費者は仕方なくその商品を買わざるをえない状況を作り、利益を生み出している。そして、デービッド・アトキンソンさんが言っているように日本は中小企業の割合が大きすぎる。そういった中小企業が不合理・非効率でも成り立つのは規制で守られているからだ。21世紀にもなって日本は何をやっているんだかと思う。

日本はそういう不公正な市場を正さねば、世襲資本主義が蔓延ってしまう。正当な競争の結果、格差が生じるなら諦めもつくが、はなから不公正な競争によって生じた格差ならば到底許すことはできない。日本の格差を是正するのはまず不公正な業界を正していくことから始まると思う。不公正を正していけば、結果的に日本の企業は二極化すると思う。極端な言い方をすれば、中小企業を解体されて、大企業に収斂するか、職人やエンジニアなどの専門性を持ったフリーランスになるかの2つになると思う。大企業は効率性が求められるので細かいことには限界がある。一方、フリーランスは細かい対応は可能だが量的な限界がある。互いが補い合う関係になると思う。

少し見方を変えれば、日本は災害大国でもあるので、分散型社会が適していると思う。工業社会の頃は中央集権で幹線で結ぶことで効率を良くすることができたかもしれない。しかし、これからは分権・分散することで効率や便利さが多少犠牲になるかもしれないが、それぞれが独立してやっていくことになると思う。それは経済だけでなく、政治も社会もそうなると思う。いや、そうなって欲しいと思う。

3.まとめ

市場経済自体は悪いものではないと思う。そして、原理的に格差が生じてしまうのも仕方がないといえば仕方がない。それは国際的な包囲網で是正するしかない。日本に限定すれば、市場に不正を持ち込むことで不当に利益を上げることだ。日本の解決策は市場を公正にすることだ。

20世紀はブルジョアとプロレタリアートの戦いと形容されがちだが、21世紀は特権階級と市民との戦いといえると思う。2つは似ているようで違う。20世紀は社会主義の実験が行われて多くの失敗を経験した。21世紀は市場経済を否定するのではない。しかし、市場経済は完璧ではないから修正はこれからも必要だ。市場経済そのものを否定するものではない。21世紀はグローバルに展開した市場経済を公正にすることだ。世界の富裕層がタックスヘイブンなどの抜け道を使って納税から逃れて不正に資産を貯め込んだり、日本の特権階級のように規制によって不公正な市場を作り出して不当に利益を貪ったりすることを正すことだ。21世紀の課題はグローバルな市場経済システムを公正なものにすることだ。