セクシャリティ

このページでは、セクシャリティについての私の考えを整理します。

1.性の分類
性には、性自認・性指向・性的嗜好がある。

(1)性自認と性指向
性自認は自分のジェンダーの自己認識であり、性指向は欲情対象となる他者のジェンダーである。ジェンダーと身体と性自認と性指向の組み合わせは主に下表のようになる。

 ジェンダー  身体  性自認  性指向
 男性  男性  男性  女性
 女性  女性  女性  男性
 ゲイ  男性 男性  男性
 レズ  女性  女性  女性
 バイ(男)  男性  男性  男女
 バイ(女)  女性  女性  男女
 MtF  男性  女性  男性
 FtM 女性 男性 女性

この他にも「MtFだけど女性が好き」というMtFレズや「FtMだけど男性が好き」というFtMゲイもある。また、同じゲイやレズもタチとウケ(ネコ)の違いもある。さらに、これらは固定したものではなく、年齢と共に変化する場合もあるらしい。ちなみに、LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略であり、トランスジェンダーには男性から女性にトランスするMtFと女性から男性にトランスするFtMがある。

(2)性的嗜好
性的嗜好をノーマルなものとアブノーマルなものにあえて分類した場合、アブノーマルな性的嗜好には主に以下のようなものがある。フェティシズム、小児性愛、老人性愛、動物性愛、サディズム、マゾヒズム、糞便嗜好、死体愛好などがある。

(3)性の多様性
性には性自認・性指向・性的嗜好の組み合わせが多数あり、極めて多様である。しかし、これまでの社会ではジェンダーは男女の2つしかないものとして規定されてきたため、多くの禁忌を生んできた。そのため、「性とは何か?」という問いにも深く踏み込んだ探求が十分にはなされてこなかった。しかし、現代ではそういった禁忌は是正されつつあり、性に対する深い探求が行える十分な態勢が整いつつある。


2.性の禁止事項
基本的にどのような性であろうと性は自由だ。性自認も性指向も性的嗜好もいずれであっても原則的には自由である。ただし、例外があり、いくつかの禁止事項がある。

(1)同意のない性行為
性行為は相手の同意が要る。相手の同意なしに行う性行為は性的暴行である。

(2)未成年者の性行為
性行為が行える条件としては成年に達していなければならない。なぜなら、未成年は精神的にも身体的にも未成熟であり、性行為を行える成熟した状態にまで成長していないからだ。よって、未成年者の場合は同意があっても性行為は許されない。

(3)セックスワーカー
本人の意思でセックスワーカーをする場合、個人の自由であり、セックスワーカーは許容されると思う。関連して、性と愛を切り離して互いに独立したものとする考え方もあって良いのではないか。もちろん、性と愛を深く結びつける考え方である夫婦愛を否定するつもりもない。いずれにしろ、セックスワーカーを許容するか否定するかはその社会の同意が要る。


3.性欲と生殖
人間がセックスする目的は生殖ではない。確かに生物としては生殖を目的として性が備わっている。しかし、人間は生殖を目的としてセックスするわけではない。人間は性欲に衝き動かされてセックスしている。しかし、生物としてはセックスの結果として子供が出来る。この2つを混同したために多くの考え違いを生んできた。


4.オルガスムスの種類
良いセックスとは何か?良いセックスを気持ちの良いセックスとした場合、つまり、性的快感が大きいセックスとした場合、そこでのセックスの目的は性的快感を最大限に引き出すことである。それはオルガスムスを最大限に高めることである。では、オルガスムスとは何か?オルガスムスには2つの種類がある。1つは絶頂に達するエクスタシー、もう1つは絶頂を持続するプラトー状態である。多くの人々は前者しか体験しない。また、後者は体験が極めて希なためにその存在を否定する者もいる。


5.禁欲のすすめ
人間は性行為に耽溺すると身体を消耗し精神を堕落させやすい。これまで論じてきた多様な性や性の探求の話とは矛盾するが、健康な身体と健全な精神のためには性行為は禁欲するのが望ましい。性的快感の探求も詰まるところは2つのオルガスムスに逢着する。そういった探求の中で男女二元論のジェンダーからは解放されるかもしれない。しかし、それでも性欲は依然として在り、性欲からの解放にはならない。つまり、性の呪縛から精神が解放されて自由になるわけではない。結局、禁欲が最も困難でありながら、性の呪縛から解放される唯一の道なのではないか。

2012年4月1日更新