『ブッダという男』(清水俊史)
まず「第2部ブッダを疑う」は至極真っ当な指摘だと思う。妥当な見解だと思う。日本では釈尊を現代の価値観に合うように歪めて解釈することが多いので、こういった指摘は必要だったと思う。安易な啓発本ならともかくアカデミズムで歪曲してはダメだろう。そういった意味で本書は良い警鐘になったと思う。そして「第3部ブッダの先駆性」は大変面白かった。無我と縁起という概念が新しかったとのこと。釈尊を理解するのに大いに役立った。また、沙門宗教の視点から仏教を眺められたのも良かった。私の場合、事前に『インド哲学10講』を読んでおいて良かったと思った。
『ジャイナ教とは何か』(上田真啓)
沙門宗教について知りたくて、そこで唯一残っている沙門宗教であるジャイナ教について知ろうと思ったのが本書を手にとったきっかけだった。この本も事前に『インド哲学10講』を読んでおいて良かったと思った。
ところで、当時の沙門宗教は多種多様だったと思う。六師外道も沙門宗教の中の一部に過ぎなかったと思うし、仏教も根本分裂するように一枚岩ではなかったし、その後のヨーガも沙門宗教の要素を含んだものだと捉えることもできると思う。現代の各宗派に分かれている仏教もヨーガも広い意味で沙門宗教と捉えることができるのではないか。そういった意味で、それらは「輪廻からの解脱を目指す」という沙門宗教という大きな流れではないかと思う。
『仏教思想のゼロポイント』(魚川祐司)
ライターの星飛雄馬さんが推薦していたので読んだ。著者は東大大学院で仏教学を学んで、さらにミャンマーで上座部仏教を修行したらしい。そうした視座から仏教思想を提示したのが本書だ。日本仏教では「悟り」を実現不可能なものにしがちだが、本書では「悟り」を実現可能なものだと主張している。ゼロポイントとは、「悟りを諦める」のではなくて、「修行して悟りを開く」のが仏教の原点なんだと主張しているのだと思う。「悟り」は修行次第で開けるものなんだと著者は言いたいのだと思う。
『移民の経済学』(友原章典)
移民について経済の観点から捉えた一冊。移民を受け入れることのメリットとデメリットを説き、移民を受け入れて得をする人、損をする人をそれぞれの研究から指摘している。移民問題のポイントを程良く解説している。ただし、移民を受け入れた方が良いのか悪いのかは本書では結論を出していない。しかし、移民について考えるのに基本になる本だと思う。移民経済の入門書に丁度良いと思う。
移民について経済の観点から捉えた一冊。移民を受け入れることのメリットとデメリットを説き、移民を受け入れて得をする人、損をする人をそれぞれの研究から指摘している。移民問題のポイントを程良く解説している。ただし、移民を受け入れた方が良いのか悪いのかは本書では結論を出していない。しかし、移民について考えるのに基本になる本だと思う。移民経済の入門書に丁度良いと思う。