2010年4月3日土曜日

ネオアカの方針 その3

ネオアカのポジションについての私の考えを雑談風に考えてみようと思います。

1.指標としての東浩紀
ネオアカのポジションを考えるときに、東浩紀氏のコンテクチュアを指標に考えると明瞭になってきます。というのは、東浩紀のコンテクチュアは、まず第一に「売れる」ということを重視していると思うからです。それ自体は別に悪いことではありません。もちろん、「売れる」ことだけではなしに「正しさ」も同時に成立させることを目指していると思います。「売れさえすれば何でもいい」というわけではなくて、「売れる」と同時に「正しい」という積集合を達成しようとしているのだと思います。ただ、優先順位としては、おそらく、まず「売れる」ということが第一で「正しさ」は第二になっていると思います。また、東浩紀は単に「売れる」ということをスローガンとして掲げているだけではなしに、明確に数値目標として考えています。東浩紀は今までもその目標を明確に数値化しており、1万人の購読者がつくことをその数値目標にしています。コンテクチュアが、実際、どのくらいの数値目標を掲げているのかは分かりませんが、東浩紀は明確な数値目標を持っていると思います。

2.売れるから正しいのか?
さて、ここからはそういった体制に対する懸念について述べます。まず、「売れる」と「正しい」が同時に成り立っている間はまったく問題はありません。ですが、「売れる」ために「正しさ」を犠牲にするようなことがあるとそれは問題です。ただし、ここで勘違いしてはいけないのが、そのような懸念があるなら、最初から「売れる」ことを目的に入れるべきではないという考え方です。しかし、そんなことを言えば、何もできなくなってしまいます。売れなければ、市場では存続できませんからね。国立大学のような公的機関ではないのだから、「売れる」ことはどうしても考慮しなければなりません。だから、売れようと努力すること自体を批判するのはちょっとおかしいと思います。まあ、今どき、それを批判する人はほとんどいないと思いますが・・・。だが、どうしても売れなければ存続できないために、「正しさ」よりも「売れる」ことを優先しやすい。だからこそ、そういったことに注意が必要だと思います。

3.正しいから正しい
そこで、ネオアカはまず第一に「正しいから、正しい」という「正しさ」を第一に考えています。「売れる」ことよりも「正しさ」の方を遥かに重く重視しています。ネオアカの体制を見れば分かりますが、「売れる」ために読者に媚を売ることをしていませんし、コストも極力掛けていません。コストを掛けないことを手抜きと思われるかもしれませんが、今はフリーで用意できる物が多いので、言葉を専門とする批評誌はコストを掛けずとも、そこそこ良質のものができると思います。それにそもそも批評誌で最も大事なものは言葉です。極端に言えば、言葉以外の見せかけの飾りは必要ないと思っています。そんな訳ですから、ネオアカは「売れる」ために「正しさ」を犠牲にするということが起こりにくい体制になっています。

4.正しいとは何か?
ただし、ここで次のような問いが発せられると思います。「正しさとは何のか?単なるおまえの独りよがりではないのか?」という問いがあると思います。確かに「売れるから、正しい」や「多くの人が支持するから、正しい」というのは分かりやすいです。なぜなら、売れた数や支持している人数など数値で明確に示されるからです。ですが、本当にそうでしょうか?当然、答えはノーです。売れたから必ずしも正しいわけではないし、支持する人が多いから必ず正しいわけでもありません。では、何が正しいというのか?「◯◯だから、正しい」という◯◯に当てはまる部分はその時々によって変わると思います。数が多いからという単純な理由で説明できるものではないと思います。逆に言えば、だからこそ、ネオアカが言葉を紡いで「正しさ」を述べる意味があると思うのです。つまり、ネオアカは正しさを追求しており、それはネオアカを読んでもらって、後はネオアカの主張が正しいか間違っているかは読者が各自で判断してもらうしかないと思っています。ですので、ネオアカの存在意義のひとつはそこにあります。

これがネオアカの考える公平批評・攻性批評です。

補足
「売れる」ということについて少し補足しておきます。「売れる」ということは「面白い」や「楽しい」がなければ売れません。この「面白い」や「楽しい」は言ってみれば、文化ですよね。だから、「売れる」ものを作るというのは文化を作るのに似ています。ですから、「売れる」ものを作るのは一種の文化活動みたいなものだと思います。だから、決して「売れる」ことを目指すのは基本的には悪いことでもないし、文化の停滞を招くものでもないでしょう。(市場で商品が売れるのは社会的な価値があるからですからね。)