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2010年6月5日土曜日

国家体制の多様性

1.何が一番良い国家体制だろうか?
国家体制についてちょっと触れておこうと思います。以前、ネオアカとしては、政治的立場として民主主義だという話をしました。また、全体主義には、当たり前ですが、反対の立場だとも言いました。ところで、国家体制としてはどのような体制が良いでしょうか?実はどのような国家体制が一番良いかはよく分かりません。資本主義や社会主義、あるいはイスラーム共和国などというのもあります。果たしてどの体制が良いでしょうか?

2.国民に主権があり、国民が民主的に選んだ体制
実はどの体制が良いかは、なかなか明確には言えないのではないかと思っています。ただ、根本的には、主権は人民にあり、民主的にその国家体制が選択されたものであるべきだと思います。つまり、資本主義であっても社会主義であってもイスラーム体制であっても国民に主権があり、国民が民主的に選んだ体制であれば、それが国家体制になって然るべきだと思います。ただし、問題もあります。ナチスドイツです。ナチスドイツは実は民主的に選ばれた国家体制でした。ですので、この考え方にもまったく問題がないわけではありません。ですが、おおむね、国家体制は主権者たる国民が選んだものであるべきだと思います。まあ、なかなか理想と現実の違いがあって、そう簡単に杓子定規には行きませんが。現在の日本では資本主義社会が絶対的なまでに是とされていますが、開発経済学では発展途上にある段階の国では資本主義は上手く機能しなかったという報告もあり、一概にすべてのケースでこれが正しいという体制はないのかもしれません。その時、その場所にあった体制に可塑的に変形するものだと考えた方がいいのかもしれません。とはいえ、やはり、現時点では民主主義の資本主義社会が今は良いように思います。まあ、経済が暗転すれば、また見方も変わるかもしれませんが。とはいえ、もし、社会主義やイスラーム体制の国に生まれたら、さぞや嫌だったかもしれないとも思います。

3.移民という出口
当然、どのような体制であっても、不満を持つ人たちはいると思います。ですが、極端に言うと、たとえ民主的に決めても、多数決で少数派の意見は受け入れてもらえないかもしれません。では、どうすれば良いでしょうか?コストなど問題は多々ありますが、最終手段としては、その国を去って別の国に移住するという移民という方法があると思います。もちろん、そうならないように、よく話し合って全員がある程度満足できるように全員が多少の妥協することによって、国を捨てることなく誰もが住みよい社会にするのが民主主義社会だとは思います。しかし、それでも、どんなに最善を尽くしても、やはり、移民する者が出てくると思います。その意味では、最低限、移民という扉は開けておくべきだと思います。

ただし、一方で、移民は高いリスクもあります。その人が高い技術力や豊かな資産を持っていれば別ですが、移民先での苦しい生活環境があります。まあ、移民先の社会に今まで税金を収めていないという社会的義務を果たしていないために、一般の国民とは違って生活を保障される権利もないという見方もあるかもしれません。移民労働者の劣悪な労働環境はしばしば問題になったりしますし、逆に移民に仕事を奪われた自国民の反発もあります。最近の米国では、アリゾナ州では不法移民は収監されて囚人として働かさせられてしまいます。ですから、移民にも問題は多々あってリスクが高いと思います。

4.移民の自由とリスク
ですが、基本的には、人間には移動の自由を与えられるべきだと思います。移民の自由を引き換えにリスクはありますが、それでも嫌な国家体制の中に閉じ込められるよりはマシかもしれません。福島亮大が『神話が考える』の中で民主主義の資本主義社会が唯一の国家体制のように書いてありましたが、必ずしも絶対的にそうだというわけではないと思います。国家もまた生物と同じように多様な体制が可能であり、一概にどの体制が良いとは言い切れないのではないかと思います。むしろ、国民が自国の主権者で民主的に体制を選択できる権利がある一方で、人々が自由に国家間を移動できる、つまり、移民の自由を与えられるべきだと思います。