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2010年6月5日土曜日

管新首相誕生について

1.民主党代表選について
菅直人が新首相に決まった。国会での首班指名の前の民主党代表選挙で、菅が291票に対して樽床が129票と、対抗馬の樽床氏が予想外の善戦だった。どうも樽床の票は小沢グループの票らしい。どうやら小沢はまだ政界を引退しないらしい。だが、彼には後継者はいるのだろうか?小沢の政治的な目的も二大政党が達成されたのでほぼ果たされたのではないだろうか?あるいは、さらなる目標として日本の国防について変えたいのだろうか?ともかく、民主党内が反小沢と小沢グループで分裂しているかのようなマスコミの誘導があるが、政権与党になればある程度派閥に分かれるのは自然な流れだろう。

2.民主主義として必要な手続き
ただ、代表選挙は茶番であるのを嘲笑する向きもあるが、民主主義の手続きとして必要なものだ私はと思う。ただ、意外な無名の対抗馬・樽床の善戦には別の意味があったと思う。とはいえ、小沢も二大政党制を最優先するだろうから、自由党の頃のように党を割ることはないと思う。だが、少数政党が増えているのでつけ入られる隙がないとは言い切れないとは思う。

3.公明党の不気味
それにしても、首班指名で公明党の議席数が多いのには改めて驚いた。大手新聞社の広告にも出ているし、その社会的影響力の大きさにやや引いてしまう。幸福実現党もその巨大さにある意味で焦りがあるのかもしれない。いずれにしても、宗教が政治に口出しするのは好ましくない。もう今の時代は政治は信仰ではなく理性で考えるべきだ。宗教を否定するつもりはないが、宗教は団体ではなく、個人の救済であるべきではないだろうか。

4.菅直人の弱点
さて、菅直人といえば、「未納三兄弟」が思い出される(笑)。その後の四国遍路での坊主頭は意外な一面を見た思いがある。政治家としてはちょっと変わった発想だと思う。60年代的な何かヒッピー的なものを漂わせているのかもしれない。ともかく、例の「未納三兄弟」の発言にあったように失言のリスクがこの人にはある。ただ、それは管自身も分かっているようで、記者会見での発言はずいぶん慎重になっていた。また、イラ管と言われるように短気な一面もあって、短気を起こさないようにも注意していた。今までのような失敗は許されない。総理となったからには発言は慎重にならねばならない。まあ、当然のことだろう。

5.民主党のリスク
ただ、民主党にとって最も注意しなければならないのは、管政権が短期で終わってしまうことだ。もし、短命政権で終わってしまうと民主党の政権担当能力が国民に問われることになる。そのときは民主党に代わって自民党による政権交代になる可能性がある。逆にいうと、管政権時代に組閣を二度はするつもりで長期に政権運営しなければ国民の信用は得られないだろう。民主党としても組閣が二回あれば、閣僚に抜擢されるチャンスも高くなるわけだから、挙党一致で協力しやすくなるのではないだろうか。

6.管新政権の課題
そして、管政権の最大課題は何よりも経済政策だろう。国家予算の縮小と増税。それをソフトランディングするにはインフレにすることだろう。小泉政権の時の竹中平蔵のように、誰を経済政策の担当にするかだが・・・。また、増税や予算削減は国民の不満が高まる。その反発を外らすために敵が必要になる。経団連などの大企業や霞ヶ関の官僚が”敵”として標的にされるかもしれない。管には薬害エイズで見せた官僚を切り崩した厚生大臣時代の実績がある。だが、それでも日本の財政危機を乗り越えるのは至難の技だろう。国民の理解はなかなか得られないだろう。だが、税収の落ち込みは尋常ではない。今までのような規模の国家予算を続けるのはいくらなんでも無理がある。そんなことを続ければ、ギリシャの財政危機以上の、日本の経済破綻が待っているだろう。もはや日本は経済大国ではない。日本は変わらなければならない。

7.民主党内の不安要素
また、民主党内にも不安はある。小沢グループの動向だ。ただ、先にも触れたが二大政党を崩すことはないだろう。ただ、党内での権力争いは新人の育成にもなるだろう。そうなれば、かつての自民党のような層の厚みが民主党にも出てくることだろう。老兵もそう簡単に新人に席を譲ってやることもあるまい。

8.社民党の暗い将来
ところで、社民党は普天間を強調していた。だが、選挙対策だろうが、野党では意味がない。普天間が踏み絵になっては社民党の将来は暗い。社民党は沖縄県民とよく話し合って連立に参加する道を開くべきだと思う。共産党のような道を歩んでも、票は共産党に流れるし、党員も離れてゆくだろう。

9.野党の反応
それにしても、管新総理を批判する野党の舌鋒がぬるい。彼らは自分たちの主張がないのだろうか?それとも、最初ということで批判を控えているのだろうか?古い政治家は習慣的に批判がましく言っている者も中にはいたが、批判の内容が貧弱だった。そう考えれば、鳩山退陣のタイミングは良かったのかもしれない。「なぜ、この時期に辞任するのか?」と鳩山辞任の理由がいまひとつ分からなかったが、結果論だが、これで良かったのかもしれないとも思える。だが、やはり、総理大臣がこの程度の批判に耐えられず、辞任するのは政治の脆弱さとして問題だと思う。確かに普天間問題は大きな問題で決して無視できない問題ではあるが、だからといって、県外移設できなかった責任を辞任するまで責める意識は国民には無かったと思う。「移設先をどうするか、米軍基地をどうするか?」は国民にとっても、どう対処すれば良いか名案は無かったのだから。だから、やはり、鳩山辞任は鳩山個人の資質によるところが大きく、この時期の辞任は責任感の薄さや粘りの弱さであって、政治家の資質として脆弱に過ぎると思う。

10.沖縄の今後
きっこのブログを読んだ。沖縄への思いと社民党への期待が書かれていた。気持ちは分からなくはないが、罷免されても政権離脱までする必要はなかったのではないか?社民党の課題は沖縄だけではないだろう。閣僚として罷免されても政権に関わる道を取るのが、ひいては沖縄のためにもなったのではないか?米軍基地の問題は米国を相手に戦わなければならない。そのためには日米安保を見直さねばならない。それは簡単には行かない。米国との長期の交渉が必要だ。米国にとって沖縄はアジアへの戦略拠点であって、日本の安全保障などではない。当たり前だが、日本は自分で自分を守る専守防衛を当然とすべきだ。管が記者会見で沖縄の米軍基地について、「ある意味で腰を据えて取り組まねばならない」というのは、日米安保の見直し、もしくは、破棄へ向けての長期的な取り組みを考えているのではないかと思う。日本の財政難で費用負担をできないので基地を日本に返せと言えばいい(笑)。嫌なら費用負担しろと。日本を囲む軍事的情勢は決して良いものではない。中国は世界第二位の軍事費を持っているし、ロシアはかつての超大国で軍事大国だ。また、北朝鮮という乱暴で何をするか分からない国がすぐ近くにある。拉致など普通なら考えられないことで、狂気の沙汰だ。が、だからといって米国に頼るもの違うだろう。自分の国は自分で守ると考えるべきではないだろうか。誰かに頼るなどというのは何か違うのではないかと思う。それに、そもそも日本は島国で海上での小競り合いはあっても、陸続きでの陸上での国境争いはないのだから、他国と比べれば安全な方だろう。同じ島国のアイスランドも軍隊を持っていない。沖縄に対して時間はかかるけれども、いつかは米軍基地を無くすという道筋を見せるべきだと思う。永久に沖縄に基地を置き続けるというのではあまりにも沖縄の負担が大き過ぎる。そのためにも交渉のテーブルに米国をつけるべきだと思う。

11.まとめ
いずれにしろ、管新政権の課題は日本経済だと思う。財政再建と経済回復だ。だが、これは険しい道であり、日本自身が産業構造の転換など大きく変わらなければならないと思う。

12.言論と表現の自由
イルカ漁を批判した映画「ザ・コーヴ」の上映を抗議のために中止したらしい。この対応は間違っている。表現の自由や言論の自由を守るために戦うべきだと思う。批判はしても上映そのものを禁止にするのはおかしい。上映を中止しろという団体もそうだし、迷惑がかかるからと自主的に中止する映画館も間違っている。以前、日教組の集会所のホテルを右翼団体が街宣車によって抗議活動することによってホテル側から集会を中止したことがある。このホテルの対応も間違っている。言論の自由は守られるべきだ。それを妨害する者に対しては断固として戦うべきだと思う。暴力によって言論の自由が脅かされてはならない。戦うという選択肢があることを忘れてはならない。そして、自分たちの自由が脅かされるときは戦わなければならない。戦いを回避するために自由を奪われても良いというのは間違っている。言論の自由を脅かされまいとする戦いは正義が自分たちにあるのだから、戦うのが恐くとも戦うべきだ。それを見ている社会は社会正義の側に当然味方するものだ。暴力に屈して正義を曲げて悪をはびこらせてはならない。